2016/02/07

今週の為替相場を考える(2月8日~12日)

今週の為替相場を考える(2月8日~12日)

日銀がマイナス金利を決定した直後の円売りはいったい何だったのでしょうか? 
円安と株高の期待は裏切られ、テクニカルでも自信を持って円安を期待しにくい状況となっていることを感じざるを得ません。

ドル安へと変化した要因には、米国の追加利上げ観測の後退が挙げられています。海外経済の低迷と弱い米製造業の指標に配慮し、12月の年4回の利上げペース見込みは薄れ、半分の2回や追加利上げなしとの極端な見通しも流れています。

結果、米国と他国の金融政策の違いから積み上がったドルロングポジションの調整で、主要国通貨や資源国通貨でもドル売りの流れが強まっていますが、この流れが今後もつづくのでしょうか? 
10日(水)・11日(木)のイエレンFRB議長の議会証言は、そのような思惑や不安を解消することができるのでしょうか? 為替相場のみならず金融市場全般で非常に重要なイベントで、今後の流れを占うことができと言えるでしょう!

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ドル相場

現状はドル売りの流れは、米経済の悪化を予想するのではなく、強気見通しの後退によるポジション調整といえるでしょう。先週、ダドリーNY連銀総裁は、世界的な景気鈍化とドル高は米国に影響を与えると言い、カプラン・ダラス連銀も利上げに関して慎重姿勢へと変化し、米金利も低下しています。

10日(水)・11日(木)イエレンFRB議長の議会証言は、これらを肯定するのか、それとも否定するのかでドル相場の流れは大きく変化することでしょう。タカ派で、慎重ながらもドル高を容認し、米景気を楽観視し今後の継続的な追加利上げを示唆するようでしたらドル買いへ。この逆のハト派となればドル売りへと動くことでしょう。

またこれらの判断が難しい場合でも、輸入物価、小売売上高、ミシガン大学消費者信頼感指数、企業在庫と多くの米国発の経済指標が重なる、12日(金)が波乱要因として浮かびあがってきます。


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【EURUSD 予想1.09500~1.1300】
EURUSDは、過去14週間にわたり上値を抑えていた1.100の大台を超え上昇、テクニカルでは新たな水準を模索する動きが予想されます。ただ、最近の上昇は、ユーロ圏発の材料と言うより、米国発のハト派材料に市場が反応した結果によるもので、3月のECB理事会では金融政策の見直しを表明しており、超強気になることも警戒する必要があります。今週は、独CPIや独・ユーロ圏の第4四半期GDPの速報値がユーロ圏発の材料として 注目されます。

【GBPUSD 予想1.43500~1.4600】
GBPUSDは、1.4400の大台を超えてからはポンド強気な相場展開が続きながらも、BOE金融政策委員会では、今までの利上げ支持者がゼロとなり、年内の利上げ期待は遠のいています。また、年央のEU離脱を問う国民投票の実施の可能性も残り、強気の材料とは言い難いものがあります。19日のEU首脳会議では、EUは英国が求めていたEU改革案の草案について討議が予定されています。その成行きを見守る動きも当然強いと思われ、しばらくはレンジ相場を形成する可能性が高いと判断します。

【AUDUSD 予想0.7000~0.7300】
AUDUSDは、0.68台をボトムに0.72台乗せと上昇傾向は続いていますが、中国経済は春節明けが心配で、原油価格も下げ止まってはいますが、ボトムアウトの確証は持てずにいます。特に直近では上下への変動幅が大きく、新たな材料がでるまでは押し目買いに徹する動きとなっています。今週は、スティーブンス豪中銀総裁の議会証言が12日(金)に控えており、今後の方向性を示してくれるのか注目しています。

【USDJPY 予想115.80~118.50、115.80を割り込むと続落の可能性が高まる】
USDJPYは、日銀のマイナス金利採用による円安期待は結果的に裏切られ、円高がどこまで続くのでしょうか? 先の安値115.80~116円が再び大きな分岐点となっています。今週はこの水準で下げ止まるのか、それとも、これを割り込み続落傾向が続くのでしょうか?

現状では116円前後の壁は生き続けており、10年債利回りは0.02%とかろうじてプラスを維持していますが、9年債まではマイナス利回りとなっており、その影響は浸透し始めてくることが予想できます。さらに、7月の衆参同時選挙の実施期待が強く、安倍総理が期待している黒田日銀総裁へは、株高+円安を期待する声が強く、今後も総裁の手腕が問われることになりそうです。

円相場や日本株と関連性の強い原油価格も見通しは不透明で、原油価格の上昇=リスク選好=円安のパターになるのでしょうか? 逆に、原油価格の下落=リスク回避=円高に動くのか、現状では両サイドの可能性に、為替相場の見通しを不透明と言わざるを得ません

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