2016/02/14

今週の相場見通し(2月15日~19日)

今週の相場見通し(2月15日~19日)

テクニカルではEUR+AUD+JPYの上昇傾向が示唆されるも先週金曜日で流れはやや変化。ファンダメンタルズではドル高の傾向がより緩やかに継続。JPYは国内要因の影響をより強く受け、政府・日銀の株安+円高対策の有無がカギとなりそうです。

株安+原油安+金利低下、そして、円高と金融市場は波乱の展開が続いていますが、先週末の米国の株高は単なる週末の調整なのか、今週の相場の流れを示唆しているのでしょうか?

旧正月(春節)で1週間の長期休暇明けとなる中国株ですが、先に2日間早く取引が始まった香港株の急落を見ても、週明けの為替相場にとっては大きな材料となることは間違いありません。

新興国経済への懸念、中国経済への不安感、主要国の低インフレ、世界的な成長見通しの低迷が続く昨今、米国だけがいつまで例外でいられるのでしょうか?

原油価格の歴史的な低迷に、米国内の石油関連企業の極端な業績悪化の影響が随所におよび、FRBも12月に予想されたような積極的な利上げサイクルを修正せざるを得ない状況にあります。しかしながら、いずれもドル売りへの変化を示す決定的な要因とは言いかねます。

円相場は、米金利の低下もあり、日銀によるマイナス金利の採用など「日銀の強権発動=株高+円安」を期待した、GPIF・日銀・政府はもちろんのこと、国内投資家も思いがけない逆の展開に遭遇し、111円割れの激しい円高を経験した後は、上下変動の激し相場展開が続いています。

このようなサプライズをテクニカルアナリストは当然と言う人もいるでしょう。また、世界的な株安に日本だけが公的資金により高値を維持できることの矛盾を改めて指摘する人もいるでしょう。

大小問わず投資家は投資元本を割り込み、新たな投資先が金以外ない現状で、投資資金を引き上げるか、「リスク資産→安全資産への資金シフト」をそれなりに余儀なくされ、企業の業績悪化に一部では金融不安も広がっています。

安倍首相は黒田日銀総裁を信任し金融政策を通じた舵取りをまかしているというも、世界的な流れの中で、日本国内だけがエンジン全開で突き進むこともかなわないのが現実です。

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ドル相場

緩やかなドル高傾向はいまだ変わらず。

米2年債利回りは、年初の1.0%から続落傾向が続いていますが、先週一週間を通じても0.73%台から一時0.57%台まで低下後、先週金曜日には0.71%台まで値を戻しました。WTIは31ドル台から一時26ドル近くまで低下後、29ドル台で越週し、DJIAは16140ドル台から15500ドル台まで低下後、16,000ドル近くに値を戻し越週し、やや底打ち感を見せています。

先週金曜日の値動きは、金融市場の安定を意味しているのか、それとも、週末のポジション調整で更なる下落を意味しているのか、意見が分かれるところです。市場は、FRBの追加時期は3月から6月へと先送りへ、または、気が早い向きは年内の利上げはないのではとの意見もあります。

ダドリーNY連銀総裁は「マイナス金利は現時点で議論されるべきものではない」と否定していますが、先週のイエレンFRB議長の議会証言で「FRBはマイナス金利について検証」とサプライズな発言も気にかかります。

さて、現実的に考えれば、今後の極端なドル高は新興国経済への悪影響が増すこともあり弱まることが予想されますが、米国経済は他国を圧倒していることに変わりなく、ドル安政策へ大気舵取りを変えることも考えにくいのではないでしょうか?

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【EURUSD 予想1.1150~1.1350】
EURUSDは、ドイツ銀行の一部債権利払いへの不安からユーロ圏銀行へ拡散した不安も、ドイツ銀行がR30億EUR+20億ドルと巨額な社債買い入れを計画したことで安心感を取り戻していますが、今週も引き続き注目材料となっています。

また、18・19日のEU首脳会議で、英国が提案しているEU改革案をどのように評価しどのような結論を出すのでしょうか? 英国を納得させるような結果を出すことは期待薄ですが、EU離脱を問う国民投票の実施やその時期につながってくると思われ、今週のEURとGBP相場に大きな影響を与えることも予想されます。

テクニカルでは2005年5月から越えることができなかった1.15の壁が再び立ちはだかっており、この水準を上回ってくると1.0500割れがボトムだったということなりかねません。現時点では2015年2月来の高値を上回ってはいますが、3月にECBは金融政策を見直すことを表明しており、市場では中銀預金金利のさらなるマイナス幅の低下を予想しており、1.14台は引き続き鬼門となることでしょう。

【GBPUSD 予想1.43500~1.4650】
GBPUSDは、安定しているとでもいうのでしょうか? 1.44~1.4600のレンジで動かず。最近では底値が切り上がり上値が切り下がり、徐々に1.4450~1.4550の100ポイントのレンジに収斂し、このレンジを抜けた方向に流れが加速することも予想できます。また、原油価格との連動性も比較的高いこともあり、26ドルでダブルボトムを達成し上昇に向かうのか、この動きも要注意です。

当然ながら、ユーロと同じく18・19日のEU首脳会議の結果は気になりますが、期待されていない分だけ、どのような回答になるのか、そのインパクトを注目したいと思います。EURGBPですが、短期的には0.79手前でトップアウトしていますが、長期チャートではEURGBPが0.70割れでトリプルボトムになっていることもあり、0.7700をボトムに下げ止まることできれば、再上昇することも期待できます。

【AUDUSD 予想0.7000~0.7200】
AUDUSDは、一時0.72台半ばまで上昇し、強さが目立っていましたが、結果的には0.70割れは買い、0.7150以上は売りのレンジ相場に入っています。予想外に堅調な豪経済と追加緩和の後退によるAUD買いも織り込み済みと思われ、中国経済の低迷による景気の減速懸念も織り込み済みなのでしょうか?

原油価格の急落や株安のリスク回避の流れの影響もAUD相場には限定的で、底堅さも感じられますが、Dailyチャートでは高値が0.7386、0.7327、0.7243と切り下がり、引き続く不安定ながら強弱センチメントが混在しています。

【USDJPY 予想112.00~115.50】
USDJPYは、今週の予想水準を考えるに当たり、過去の値動きからは112.00~114.20円のレンジが予想できます。しかし、原油価格、株価、金利などの、多くの変動要因が不透明で、USDJPYがより上昇する可能性が5割、逆に、112円を割り込む可能性が2割、112~114.20円のレンジの可能性が3割と勝手ながら推測しています。

円安へ向かうためには、春節明けの中国株がキーとなっています。中国当局は株価の暴落を座視することはないとの考え方と、先週末の米株+米金利+原油価格の上昇、や僅かならも政府・日銀の株安+円高対策の期待感も存在します。

円高へ向かうリスクは、中国政府が株価の下落を座視することですが、休み明けの香港株の急落を見るにつけ、何もしなければ中国株が続落する可能性が強く、そうなれば更なる円高に向かう可能性が高まります。

112.00~114.20円のレンジに留まる可能性ですが、USDJPYは過去6週間の平均レンジは約4円となっています。この水準をレンジ予測に当てはめれば、ブルで112.50~116.50円、ベアで100~114円、ニュートラルで111.50~115.50円と、若干ブルを加えて、112.00~115.50円と計算上は当てはめて考えています。ただし、正直なところ、
円相場を予測することは難しいのが実情です。

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