2017/04/09

今週の為替相場を考える(4月10日~17日)

今週の為替相場を考える(4月10日~17日)

今週は、グッドフライデー(15日)、イースターマンデー(17日)でポジション調整の動きが早まる可能性が高い。また、突然の米国のシリア軍事攻撃や各国で勃発しているテロ攻撃もあり、今週はより地政学的リスクが高まる可能性も意識せざるを得ない。米中首脳会談では貿易問題で「100日計画」の課題が言い渡され今後の結果待ちへ。15日期限の財務省の半年次為替報告書は何が書かれているのであろうか? 18日からの日米経済対話では日本への通商問題へのプレッシャーが強まる可能性が高く、為替相場への影響も。

突然の米国によるシリア軍事施設への攻撃。シリアが化学兵器を使用したことへの報復だが、トランプ大統領の支持率が低下している国内政策への不満のはけ口ではとの報道もある。米中首脳会談は米国が北朝鮮への軍事的攻撃の可能性をちらつかせるなか、可能性は極めて低いと思われるが、北朝鮮問題が相場変動の一因になることも忘れることはできない。

トランプ米大統領と習近平・中国国家主席の初の首脳会では約21時間に及んだ。夕食会の最中に米国のシリアへの軍事行動を命じたトランプ大統領の思惑は? 両国関係は前進するも、貿易や北朝鮮問題で具体的な一致は見られず。貿易不均衡の是正に向けた「100日計画」を策定することで合意。

共同声明を出さず、米国→貿易赤字削減策だけを公表し、中国→主導する独自経済圏に米国を招き入れたと主張。米中双方の発言もやや異なり表面的な合意にとどまる。

→ 米国のモノの貿易赤字は2016年に7343億ドル(約80兆円)で、対中赤字の47%を占める。2001年WTOに加盟後の対中貿易赤字は4倍強に拡大し米国は7万カ所もの工場閉鎖に追い込まれたと、トランプ大統領は主張していた。

18日からの日米経済対話で、日本に具体的な行動計画を求める可能性がより強まり、その思惑で円相場が動く可能性は高く、つまり、円相場では予断は禁物。

ムニューシン米財務長官は「中国政府による為替操作に関しても合意が得られなかった」とあるが、4月15日(土)は、米財務省が半年次為替報告の議会提出期限となっており、どのような報告を議会に提出するのか? その内容次第では、特に円相場の変動が高まる可能性がある。

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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】


先週は、ドル全面高で終了したと言っても過言ではない(USDJPYだけは111.363→111.054と小幅円高)。米株は弱さが目立つが、ダウは前週比−0.03%と小幅な低下にとどまり、10年債利回りでは、米債は2.387→2.382(−0.005%)、低下傾向が続くも先週は小幅下げにとどまり、日本0.070→0.061(-0.009%)、独0.328→0.228(−0.1%)、英国1.139→1.075(-0.064%)、豪州2.701→2.551(-0.15%)に低下し、金利差の拡大もドルをサポートしている。


◎USDJPY【予想レンジ 110.00~111.50→112.50】


USDJPYは、110円の大台割れを試せず、111.50円超の上値の売りは消えず。ドル全面高の流れの中で、クロスでは円高傾向を維持している。18日からの日米経済対はでは米国の貿易不均衡の是正策を求められることは必至。15日までに米財務省が議会に提出する半年次為替報告書も、日本が為替操作国の対象にノミネートされているとは考えにくいが、その可能性を織り込む可能性の文言が入ることは考えやすい。結果として投機筋の円高思考のよりどころとなっている。

Weeklyチャートでは、過去3週の終値は112.26、111.04、109.98と、各週で110円割れを試す動きを経て結局は111円へと値を戻しながらも、高値は113.31、112.44、111.40と、おおよそ1円ごとに上値が切り下がってきている。200週MA=110.19、36週MA=109.25で、まずは110.19円をWeeklyベースで割り込むと大きな変化へ。逆に111.40、112.44を上回ってくるとショートカバーが入りやすくなっている。

今週はグッドフライデー(15日)、イースターマンデー(17日)で、どこまで積極的に投機筋が動くかは不明ながら、円クロスでどこまで円だけが独歩高で突き進むことができるのか気になっている。つまり、最近の円高はクロスでの円買いが大きな要因となっていることで、逆にその調整が入ると、一機に円安へ動くことになるリスクがあることを示している。今週は円クロスの動きを注視したい。

IMM通貨先物の円ショートポジションは、引き続きショートポジションながら減少傾向が続いている。USDJPYのオプションではドルプット・円コールオーバーが続き、1か月は-1.9と3月末の水準よりさらに拡大し、市場の円高期待感がより強まっている。



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◎EURUSD【予想レンジ1.0500~1.0660】

ECB議事録、ドラギECB総裁、コンスタンシオECB副総裁など、緩和姿勢の解除期待をけん制するハト派発言に、バイトマン独連銀総裁などタカ派発言はすっかり影が薄くなり、やや軟化したユーロ圏景況感指数にユーロは軟調に推移。米軍のシリア攻撃もあり地政学的リスクも気になる。また、フランス大統領選の世論調査ではマクロン氏とルペン氏の支持率が拮抗から、ルペン氏がリードする局面もあり今後の政局不安が広まる。

EURUSDは1.0650以下で買い支えられた動きも消え、2週連続の下げで1.0900→1.0600の大台を割り込む弱さ。暫くユーロブル派は立ち直れず。4時間チャートでは中期と長期がデットクロスしてから下落が加速、1.0660を超えまでは大きな変化は見込み薄。

IMM通貨先物のユーロ・ショートポジションは-11,405と小幅増加するも大きな変化は見られず。EURUSDのオプションでは、プット・オーバーで1か月が-3.5%超と大幅に拡大し、市場のユーロ先安期待はさらに拡大へ。ちなみに、EURJPYもプット・オーバーで、1か月は-4.8%とユーロ円の先安期待が強い。


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◎GBPUSD【予想レンジ 1.2300~1.2500】

カーニーBOE総裁もブレグジットでどのような影響が英経済に及ぶのかを見極める動きで非常に慎重。景況感指数は強弱が混在するも、直近では弱い英住宅価格、弱い鉱工業生産・製造業生産、弱い貿易収支と、弱さが目立つ英国経済。それと、コモンウェルズ通貨が弱い。

3月21日来となる1.2400の大きな壁を割り込んでのクローズ。下値は週ベースで近くは1.2330近辺、そして重要な1.2100がポイントに。

IMM通貨先物のポンド・ショートポジションは、先週から若干低下したが、-99,673コントラクトと引き続き大幅な売り越しへ。GBPUSDのオプションでは、リスクリバーサルは、下落傾向にあるも短期から中期と引き続きGBPプット・オーバーで前週とあまり大きな変化は見られず。あまり手を出したくない通貨。



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◎AUDUSD【予想レンジ 0.7360←0.7490~0.7580】

弱い、予想外に弱さが目立つ。トランプ政権の不安定な政局を反映した動きなのか、株安+金利低下とリスク回避の流れの一環と、3月16日の弱い雇用統計後から上値が重くなり下落へと変化し、弱い豪小売売上、高豪中銀の自国通貨安のけん制や、緩和的金融政策の継続を示唆する動きに、豪ドルロングは撤退へ。

英ポンド、豪ドル、NZドルと旧大英帝国(コモンウェルズ)通貨で資源価格の変動に敏感は通貨の弱さが目立つ。200日MA=0.7553を割り込み下落するも、3月9日の安値0.7491とほぼ総水準で下げ止まっており、この水準を維持することができるか注目。

IMM通貨先物のポジションでは、引き続き豪ドルだけがロングを維持。市場の豪ドル先高期待を示しているが? AUDUSDのオプションでは、リスクリバーサルは先週後半からAUDプット・オーバーが拡大し、1か月では-1.55と下値リスクのヘッジへ。

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