2018/11/18

今週の為替相場を考える(11月19日~23日

今週の為替相場を考える(11月19日~23日

世界情勢は不安定な中で、22日(木)感謝祭で米市場は休眠状態、23日(木)はブラックフライデーで米債券・株式市場は短縮取引で日本も祭日で半休眠状態。米国では22~25日まで休みを決め込む市場参加者も多い時期に突入へ。

英国のEU離脱協定案では、メイ首相は一応「政権内の離脱推進派リーダー」の支持は取り付けたものの、メイ政権の混迷と予測できにくいブレグジットの結末に、ポンド売りは止むのだろうか? 「合意なきEU離脱、二度目の国民投票、総選挙等」の可能性を残す中で、良くも悪くも11月25日のEU首脳会議は開催するというが一体何を話しあうのだろうか? 

米中は通商協議を復活させ11月30日のG20 で首脳会談を目指して動きだし、トランプ大統領は「中国が貿易合意を求めており、追加関税を行わずに済む可能性もある」とはいうが、「中国は合意を望んでいる。彼らが取る対応についての大掛かりなリストを送ってきたが、私にはまだ受け入れられない」と語り、相手がトランプ氏だけに何がどうなるのか、予想できず?

イタリアは財政問題を残したままで11月21日に「過剰財政赤字是正手続き(EDP)」の制裁手続きに入る可能性もありが、取り巻く世界情勢の緊迫化を考えると、この時期にイタリアの財政規律を厳格に求めることに対する弊害がより不安。

気になるのは、FRBの金利見通しの変化の有無で、15日にパウエルFRB議長は「米経済は現時点で力強いものの、来年には逆風に直面する可能性があるとの認識を示し、あとどれくらい利上げをするか、今後の利上げのペースについてわれわれは考えなければならない」との発言も気になって仕方がない。

週末には、米複数のメディアが「カショギ氏の殺害はムハンマド皇太子の命令だった」と断定する報道を流しており、米サウジの関係悪化が相場にどのように影響するのか? また、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁は「12月の利上げは慎重であるべきで確信していない」と発言。米株の下落はとまるのか? 米債利回りの低下は続くのか? リスク可否による円高傾向がどこまで続くのか? これが今週のテーマ。 


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「USDJPY」 
週初めの114.20台を高値に週末は112.60台まで下落し安値圏で推移。米金利と米株の連動性は変わらないが、ファンダメンタルズからの円安に反して、積みあがった円ショートの巻き戻しと日米通商協議の再開に伴う円安けん制の動きが気になる。気が早いが週足では114円台でダブルトップを付けている可能性や、米利上げの強気姿勢の変化も気になってしまう。

結果、米株と米債利回りを見ながらの短期取引が中心となりやすく、112~114のレンジを想定しながらも、下値リスクを意識し買の利食いはどうしても早めになりやすい。また、下がると続落のリスクを警戒してしまい買い水準を見極めることが難しくなっている。


「EURUSD」 
週初めの1.1210台をボトムに1.1410台の高値まで上昇し1.14台の高値圏で推移。ブレグジット交渉をめぐるリスク・ヘッジとしてEURGBPが買われた影響もあるのか、イタリアの財政問題を未解決の中でのEURの上昇力が目立っている。これで11月7日の高値1.1500から1.1210の安値を付けた後、76.4%近くを戻したことになる。

結果、下降トレンドが続いてはいるが、先週一週間の力強い買い戻しと、米金利動向を考えると、1.1300~1.1500のレンジ入りで、高値を買う気には起きないが押し目買を意識したくなる。


「GBPUSD」
大枠1.27~1.32の大きなレンジで推移。今後のブレグジットをめぐる材料に一喜一憂し、上下変動する流れは容易に止まらず、あまりにも突然の上下変動に手を出しにくい通貨になっている。可能性は非常に低いが一発の大博打をするなら何等かの合意期待のロングなのだろうが、FXオプション以外では対応できにくく、オプションでもプレミアムが高すぎ到底手を出せない。

「AUDUD」
10月終盤の0.7021をボトムに3週連続の上昇に0.7330で終わっている。8月24日週の終値ベースの高値0.7323に並び8月3日週の終値ベースの高値0.7399に次ぐ高水準まで値を戻している。14日の豪第3四半期の賃金価格指数は3年ぶりの高水準で前年比2.3%も上昇、15日の後雇用統計は予想外の改善での影響もあるが、米中通商協議の再開も意識している。

結果、今後の米中通商協議(含む、米中首脳会談)を意識しその材料に左右される可能性が高いと思われる。0.7300台の売りは強く簡単には抜けきれないと思われるが、買いへ反転している可能性を意識した動きへ。