2018/11/17

2018年11月17日(土曜)16日、海外市場の動き

2018年11月17日(土曜)16日、海外市場の動き

週末金曜日、米通貨当局者のハト派発言に、米株は何とか上昇するも、米債利回りは低下、為替相場はドル円を含めドル全面安、円クロスは通貨間で強弱混在。多難なブレグジット合意に向けポンド安のリスクは変わらず。欧州委員会はイタリア予算案を巡り21日に「過剰財政赤字是正手続き(EDP)」の開始を勧告へと動く。

トランプ氏は「中国が貿易合意を求めており、追加関税を行わずに済む可能性もある」と発言、米中通商協議の再接近は株価にとって好材料ながら、相手はトランプ氏! 蓋を開けるまでは何が飛び出すか良くも悪くも不安。

前日のパウエルFRB議長発言で「海外需要の鈍化、米財政刺激策の効果減退、米利上げによる時間差をもって生じる経済への悪影響」を危惧。米利上げが来年に停止の可能性が読み取れる中で、米国市場序盤に「カプラン、クラリダ両氏は、世界経済の減速を言及」、米金利は低下=ドル売りへと流れは変化。

GBPUSDは、今まで、事務方が英EU離脱協定の草案で合意、英閣議は草案を承認し直後はポンド急伸するも、逆にラーブ離脱担当相、他閣僚の辞任が多数にポンドは急落していた。今日は、ゴーブ環境、フォックス国際貿易相がメイ首相の指示を表明。分裂は避らえないものの、市場ではやや落ち着きを取り戻し、GBPUSDはアジア市場の安値1.2758、欧州市場の安値1.2777から、米国市場に入りドル全面高の流れの中で一時1.2877まで上昇。ただし、上昇幅は限定的で週末はもちろん、25日のEU首脳会議に向けてどのような変化となるか? リスクが高いことは変わらず。

USDJPYは、アジア市場の高値113.68、欧州市場の高値113.71から、米国市場に入り、米株が下落からスタートし値を戻すも、米通貨当局者によるハト派発言を受けた米金利の低下に、前日の安値113.10を割り込み、113.00の大台を割り込み円ショートのストップが加速。オプション絡みの円買いもあったのか不明ながら、オプションカットでは112.60台まで続落。米株の上昇に112.90台まで値を戻す局面も見られたが、その後も戻り売りの展開が続き112.80台で推移。

中国経済の影響が多きく連動性が見られる、AUDUSDとNZDUSDは、米金利の低下もありドル全面安の中で上昇傾向は強い。AUDUSDは15日の強い豪雇用統計直後の0.7230台から続く急伸の流れを維持し、欧州市場では0.7250まで一時値を下げるも、米国市場に入ると0.7320台へ上昇。トランプ氏から「中国が貿易合意を求めており、追加関税を行わずに済む可能性もある」と発言、米中通商協議に向けた期待感も強まり、0.7330台と上昇傾向が続いている。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

22:30    CAD 9月 製造業売上高=前月比0.2%(予想0.1% 前回-0.4→-0.5%)

23:15    USD 10月 鉱工業生産=前月比0.1%(予想0.2% 前回0.3→0.2%)、設備稼働率=前月比78.4%(予想78.2% 前回78.1→78.5%)→ 鉱工業生産は予想を下回り、設備稼働率は予想を上回り2015年6月と同水準へ上昇

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

【北米】
ロス米商務長官(ブルームバーグ)=米国は中国製品に対する1月の関税引き上げを依然として計画している。首脳会談について、楽観的に見積もっても、貿易摩擦の解消に向けたさらなる協議の「枠組み」で合意するにとどまるとの見方を示した。

米政府当局者(15日)=米国からの通商改革要請を受けた中国の回答について、米中首脳会談での貿易問題打開につながる可能性は低い。

クラリダFRB副議長=金利は中立水準に近づいている。世界経済は鈍化傾向がみられる。2019~20年の経済成長は事を幾分下回る見通し、世界のリスクは下向き、FRBは数回追加の利上げを実施するだろう。

カプラン・ダラス連銀総裁=世界経済の減速を言及し米金利は低下し、ドル売りが強まる。

エバンズ・シカゴ連銀総裁=3.25%までの金利上昇は理に適う。どこまで金利を引き上げるべきか見極めるために、物価、賃金、労働市場に関する指標をより幅広く検証する。インフレ率が2.5%に上昇したとしても、一時的なものである限り問題はない。世界的な景気減速の可能性など、経済見通しに対するリスクは存在するも、経済が力強い軌道から外れるには至らない。

パウエル議長(ブルームバーグ)米利上げの流れは、来年中に停止か?=14日パウエルFRB議長は米経済を巡り総じて楽観的な見通しを示しつつも、2019年に直面する可能性がある課題として、海外の需要鈍化や米財政刺激策の効果減退、これまでの米利上げの影響が経済に時間差をもって生じる可能性の3つを挙げた。

NY連銀公表の第3四半期の米家計債務残高=13.5超ドルと過去最高を記録。第3四半期はこれまでのピークだった2008年の水準を8370億ドル上回り、増加幅の2190億ドルは、2016年以来の大きさ

トランプ大統領=中国が貿易合意を求めており、追加関税を行わずに済む可能性もある。中国は合意を望んでいる。彼らが取る対応についての大掛かりなリストを送ってきたが、私にはまだ受け入れられないと語る。

【欧州】
バイトマン独連銀総裁=ECBは次の危機に対応する余地を確保し、市場が正常に機能するよう金融政策を危機前の状態に戻すべきと主張した。

ドラギECB総裁=量的緩和を年内に終了する方針を再表明。成長見通しには慎重で、インフレ率の上昇は当初の想定より緩やかになる可能性が高い。最近の減速は主に一時的な要因による。貿易の伸びは緩やかだが依然として堅調なペースで安定化しつつある。基調的なインフレ指標はまだ「確実な上向きトレンド」を示していないが、賃金上昇が最終的には物価に波及すると確信。貿易リスクを今後数カ月、非常に慎重に見守る、もう一つのリスクは高債務国の支出政策。

メイ英首相=引き続きDUPと協力する、次期EU離脱担当相はまだ決めていない、数日中には決める。昨日ゴーブ氏との会談は良い内容だった。離脱協定案への閣僚の自由投票の可能性を排除せず。

メイ英首相=DUPとの仲たがいはなく、協力関係が協調されている。

英タイムズ紙=ゴーブ英環境相は辞任を思いとどまった。

一部報道(英タイムズ)=モーダント英国際開発相、レッドソム英下院院内総務も閣僚にとどまる意向を示す。

英ガーディアン紙=EU首脳会議は11月25~26日に開催

メイ英首相=英国のEU離脱協定案をめぐり、政権内の離脱推進派リーダーらの支持を取り付けた。

ゴーブ環境・食料・農村相は首相の指示を表明し、閣内にとどまると言明。離脱推進派のフォックス国際貿易相もメイ氏への支持を表明した。

EU離脱担当相に保健担当閣外相のステファン・バークレー氏を指名

英紙デイリー・ミラーの委託でサーベーションが実施した世論調査=対象者1,070人のうち49%が離脱協定素案に反対と答え、賛成はわずか27%。

バラッカー・アイルランド首相=アイルランド政府は厳格な国境管理を支持せず。交渉してきた合意を承認することでハードボーダーは避けられる。

離脱交渉では、英領北アイルランドを英国の他の地域と異なる関税区域に置く構想が当初示されたが、ラーブ離脱担当相が反対し、破棄された。英とEUの交渉担当者は、アイルランド国境での税関検査などのハードボーダー(物理的壁)を回避する手段として、将来の通商協定が成立するまでの間、英国全体が一時的にEUとの関税同盟にとどまるという代替案を練り上げた。それがEUにとって越えてはならない一線だった。歩み寄りの過程で、英国とEUの将来の関係を巡る交渉が単一の関税区域を基礎として進められるという協定案の表現をEU側は要求。換言すれば、英国が結局はEUとの恒久的な関税同盟にとどまる可能性が高いことを意味していた。英国での報道によれば、トゥスク大統領の会見後間もなく辞任したラーブ離脱担当相にとって、その文言が最後の一撃になったという。

複数の当局者=25日の臨時首脳会議を他のEU27カ国首脳と離脱協定を締結する場にすることは不可能だとメイ首相が認識したとしても、「合意なき離脱」の不測の事態に備える計画を話し合うため、首脳会議はそれでも開催される可能性がある。

関係筋の話=欧州委員会がイタリア予算案を巡り21日に「過剰財政赤字是正手続き(EDP)」と呼ばれる制裁手続きの開始を勧告。

【アジア・その他】
中国商務部報道官=15日の定例記者会見で、米中は11月1日の電話会談後は、経済・貿易分野でハイレベルの接触を再開。米中首脳は電話会談協議で達した共通認識に基づき、作業チームが緊密に接触している。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の高橋則広理事長(ロイター)=為替変動リスクを抑制するためのヘッジ取引を実施する体制を整えたと語った。足元で為替ヘッジを実施したかは明言しなかったものの「法律上通貨の制約はない」との認識も併せて示した。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※