2018/11/16

2018年11月16日(金曜)15日、海外市場の動き(午前5時半ごろ)

2018年11月16日(金曜)15日、海外市場の動き(午前5時半ごろ)

離脱協定案に抗議し、英ラーブEU離脱担当相や複数の閣僚が辞任。国民投票の再実施、総選挙、合意ないEU離脱の可能性にポンド急落。

為替相場は、ポンド一人安の状態。他の主要通貨では総じて前日比では横ばいからドル弱含みで、新興国通貨は上昇気味。米株高に円高も収まり円安へ方向転換。米債利回りは下げ止まり反発し、原油価格は続伸するも、共に終盤にかけて伸び悩み上昇幅を縮小。

強い米経済指標が続く。米小売売上高は前月比0.8%(予想0.5 前回-0.1%)と5か月ぶりの伸び率で、NY連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀景況指数、輸入物価指数と共に予想を上回る。

ダウは一時の200ドル近い下落から反発し、逆に一時250ドル近く上昇して+127(+0.5%)近くで推移。S&P500とNasdaqも0.7~1.4%近く上昇へ。米10年債利回りは3.134%から一時3.079%まで下落後、3.11%近くまで反発。原油価格(WTI)は57.26まで反発後伸び悩み56.44近くで推移。

GBPUSDは、ラーブ英EU離脱担当相がメイ首相の離脱協定案に抗議し辞任、マクベイ雇用・年金相も辞任、ゴーブ英環境相が今晩辞任との報道もあり、政局は危機的状況。 メイ英首相が記者会見で「閣僚辞任について謝罪する、2回目の国民投票は実勢せず。バックストップ案の懸念があることは承知している。2019年3月29日のEU離脱を確認」とするも、政局の混迷は避けられず。市場は、国民投票の再実施、総選挙、合意ないEU離脱のリスクを意識してポンド急落。GBPUSDは一時1.2724まで下落と、10月の1.2696の安値に迫る勢いに今後もこの水準を意識したい。GBPJPYも一時144.25まで下落するも、欧州市場の後半から米国市場にかけては144.20台~145.50台のレンジ相場で推移。

AUDUSDは、アジア市場早朝の豪雇用統計の予想外の改善に
0.7230台→0.7298まで続伸と0.7300直前まで上昇。欧州市場に入り一時0.7250まで、強い米経済指標に0.7250で共に下落するも下げ止まり、NY市場の終盤にかけては0.7297と再度0.7300の大台を試すも、現状ではブレークできずにいるも、今後の動きを注目したい。

USDJPYは、ラーブ英EU離脱担当相の辞任を受けたGBPJPYの急落や米債利回りの低下、株安の流れにアジア市場の113.60台を高値に一時113.10まで続落。米国市場に入り強い米経済指標が続き、米株が上昇に転じ続伸、米債利回りも上昇に転じ、113.707まで続伸し、113.50台で推移。引き続き株価連動型のドル円相場は変わらず。

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22:30    USD 10月 小売売上高=前月比0.8%(予想0.5% 前回0.1→-0.1%)、除く自動車・前月比0.7%(予想0.5% 前回-0.1%)→ 予想を上回り5か月ぶりの大幅な伸びへ

22:30    USD 週間新規失業保険申請件数=21.6万件(予想21.5万件 前回21.4万件)→ 予想を若干上回り悪化

22:30    USD 11月 NY連銀製造業景気指数=23.3(予想20.0 前回21.1)→ 予想を上回る

22:30    USD 11月 フィラデルフィア連銀景況指数=12.9(予想20.0 前回22.2)→ 予想を上回る

22:30    USD 10月 輸入物価指数=前月比0.5%(予想0.1% 前回0.5→0.2%)、前年比3.5%(予想3.3% 前回3.5→3.1%)→ 予想を上回る

0:00    USD 9月 企業在庫=前月比0.3%(予想0.3% 前回0.5%)

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【北米】
中国当局はトランプ政権に譲歩案説明(ブルームバーグ)=関係者2人は譲歩案について、トランプ大統領が要求する大規模な構造改革には現時点で至っておらず、交渉で長い道のりが残っていると説明した。関係者1人は協議が続いており、建設的だと述べた。→ トランプ大統領が幅広い合意をまとめるのは難しいとの見方もある。譲歩案の大半は、外国投資家の一部業界への株式投資制限の緩和など、中国が既に行った改革の焼き直しだと関係者の1人は述べた。「中国製造2025」など米政府が求めている中国の産業政策の変更は盛り込まれていないという。

ロス米商務長官=1月まで米中貿易問題の最終合意は予想せず。今月末の米中首脳会談は問題の全体像に焦点。中国とは段階的な合意を見込んでいる。

パウエルFRB議長=米経済は現時点で力強いものの、来年には逆風に直面する可能性があるとの認識を示し、あとどれくらい利上げをするか、今後の利上げのペースについてわれわれは考えなければならない。米経済は非常に強い、成長が続く可能性が高いが、住宅セクターの減速の兆しや高水準の企業債務を注視している。→ 利上げのペースや終了時期についてFRB内で議論が行われる中、浮上しつつある幾つかの懸念材料を挙げた。米経済が今後数カ月間に直面する可能性のある「逆風」として、国外で景気減速が見られるほか、「議会で可決された減税や歳出拡大が現在は一定の押し上げとなっているが、この刺激効果は時間とともに薄れる」と指摘。こうした効果は向こう1年程度で薄れる可能性もあると述べた。

ボスティック・アトランタ連銀総裁=情勢は緩和政策の終了を正当化する。ブレグジット交渉を我々も注目。ECBは小幅な利上げを実施し、それから様子を見るべき。2021年の米GDPは1.8~2.0%程度を予測。中立金利は2.5~3.5%と考えている。

パウエルFRB議長=米経済は良好で、賃金の動向を注視、期待ほど早く上昇せず。賃金上昇率はインフレや生産性を反映したレンジ内にある。

メキシコ中銀=政策金利を0.25%引き上げ8.0%に決定、予想通り

【欧州】
ラーブ英EU離脱担当相は15日、メイ首相の離脱協定案に抗議し辞任。声明で、私は協定案を支持することができない、EU離脱協定案に関する昨日の閣議を受け、私は遺憾ながら辞任しなければならない。→ 15日にはマクベイ雇用・年金相も辞任、主要閣僚の辞任で、政局は危機的状況に陥っている。

ゴーブ英環境相が今晩辞任へ(英タイムズ紙)=この報道にポンド売りが強まり、GBPUSDは安値1.2724まで一時下落。

メイ英首相記者会見=私が定めた方向が、わが国とすべての国民にとって正しいと完全に確信、英国にとって最善の合意を得ることが私の職務、閣僚辞任に遺憾の意を表明したうえで、国民投票の結果を尊重する意向を示した。再投票は行わないとした。アイルランド国境の管理厳格化回避策をすべて否定すれば、合意の可能性がなくなるとの認識。閣僚辞任について謝罪する、2回目の国民投票は実勢せず。バックストップ案の懸念があることは承知している。2019年3月29日のEU離脱を確認。→ 多数の閣僚の辞任に与党保守党からもメイ首相の党首としての信任投票実施の動きもあり、メイ首相の去就をめぐるリスクも高まり、議会がブレグジット協定案を承認するか不透明に。

ラーブ氏BBC放送のインタビュー=離脱合意案は議会を通過しないだろう。EUは英国を「脅迫」してきたとし、何年にもわたり国益を損ない得る条件に同意するよりも合意を拒否し短期的な痛みを受け入れた方が良いと主張。

ディマイオ・イタリア副首相=2019年予算案を巡りEUの制裁回避を目指しているが、国民に犠牲を強いるようなことはしたくない。オーストリアとオランダは欧州委にイタリアに制裁を科すよう主張しており譲歩しない姿勢には失望。

コンテ・イタリア首相=欧州委員会に、制裁は清算金の負担を軽減のため、EUの債務ルールではなく、EU財政ルール違反にするように説得。

【アジア・その他】
15日(ブルームバーグ)、OPECと非OPECで構成する「OPECプラス」は、サウジが今週初めに言及した日量100万バレルを超える減産を検討していることが、事情に詳しい複数の関係者の話で分かった。産油国は供給過剰の可能性について不安を強めているという。非公開を理由に匿名で語った。直近の合意では2016年の生産量を基準に採用したが、足元の生産に近いレベルへの基準更新が現在話し合われているという。12月上旬にウィーンで開かれる総会で最終決定される。

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