2018/11/25

今週の主な材料(11月26日~30日)

今週の主な材料(11月26日~30日)

米感謝祭・ブラックフライデーも終わりクリスマス商戦に突入し、今週は11月最後の週を迎えます。25日にEU特別首脳会議が、30日にはG20で日米首脳会議と相場にとって非常に重要な会議開催が予定されています。

30日のG20の場で日米首脳が通商問題で話し合いをする予定となっています。可能性は低いと考えていますが何等かの合意をし、米中貿易戦争のリスクにどのような変化をもたらすのでしょうか? 今週金曜日のアルゼンチンの場だけに為替市場がクローズした後にニュースが飛び込んでくるかもしれませんが、その場合には次週の月曜日の相場変動も意識しなければなりません。

さて、今週はブレグジット交渉とイタリア予算案は大詰めを迎えポンドとユーロ相場が今週も動くことは間違いないなさそうです。ただし、最近の傾向としては、主要通貨は各国独自の材料により動きが限定されることが多いように感じられます。

つまり、主役はもちろん米国発の材料ですが、ポンドはブレグジットの材料に連動した動きとなり、ユーロはそれとイタリア予算案と欧州景気の鈍化傾向、ECBの金融政策の変化に連動し、豪ドルとNZドルは米中貿易戦争とリスク敏感で株価と対米との金利差に連動し、カナダドルはUSMCAと原油価格に連動した動きに思えてなりません。

先週まで続いた米株安と米金の低下傾向と、さらに、原油価格の大幅下落は米感謝祭の長期休暇を前にして中短期投資家が、または、大手ファンドの決算を迎えた長期ポジション調整によるものなのか、それとも根本的なトレンドの変化なのでしょうか? それが今週と来週のテーマになりそうです。

さてポンドですが、22日にブレグジットを巡り「政治宣言」草案で大筋合意し、EU特別首脳会議に向けた話し合いでは、スペインが英領ジブラルタルで領有権を主張し合意に反対していますが、25日にはEUは妥協案を付帯させ特別首脳会談を予定通り実施し、声明の草案が報道で流れています。

草案については長くなりますのでGBPUSDの際に説明しますが、「将来的に英国とできるだけ緊密な関係を築くとのEUの決意を欧州理事会は確認する」とあり、週明けからのポンド相場の動き活発になる可能性を意識しています。

イタリアは2019年の予算案をめぐり、EUとイタリア双方は共に妥協する可能性は残っていることを強調していますが、イタリアの副首相の欧州連合への批判発言を目にすることが多く、サプライズは期待できないように思いますが、どこに合意点を見出すことができるのでしょうか?
 
共に、政治的駆け引きは歴史を振り返ればいつのも事なのですが、「クリスマス」の長期休暇時期を一つの区切りとして合意することが多く、残り数週間で妥協策を見出し合意することを期待しています。仮に、この間に合意ができない場合には、先のことになりますが「深刻な状況」に落ちる可能性が高まることになるでしょう。

今週は、米・カナダGDP以外では最重要な経済指標はすくなく、FOMC議事録、ドラギECB総裁、カーニーBOE総裁、パウエルFRB議長をはじめ多数の米金融当局者による発言が予定されており、米金利の先行きがやや薄曇りの状態でもあり発言による急変に注意が必要となっています。

そのため、米株や中国株を中心とする世界的な株価の動向や、主に米債10年債、2年債利回りの動向と、続落傾向の原油価格の動向を特に注意する必要がります。※(別表を見てください、これは一部だけとなりますが、豪ドルは豪・米金利差に連動した動きが続いており、円は米株と米金利に連動した動きが続いていることがわかります)。


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USDJPY

25日のEU特別首脳会議の結果や、30日の米中首脳会談を前にした報道や思惑で、リスク回避、リスク選好のパターンに円相場が強く影響を受けることは避けられません。事前に予想することは困難なので基本パターンは円高・円安どちらにでも動ける体制を準備する必要がります。

直近では、15日にラーブ英EU離脱担当相の辞任を受けたリスク回避の円買い、16日のパウエルFRB議長を含めたFOMCメンバーのハト派発言に米金利が低下し円高傾向に拍車がかかった流れからは先週は一時円買いが加速、レンジ112.305~113.214のレンジで、大枠112.50以下は買い、113.00以上は売りの流れを継続中。

Weeklyベースのテクニカルでは、大枠111.50~114.50のレンジでダブルトップを形成している可能性を引き続き意識しています。ただし、先週は112.50円以下の買いの強さを確認しており、今後の1~2週間の相場の動きを見て次の流れをフォローする必要がありそうですで、114円台に乗せが確認できたら緩やかな円安相場に逆戻りするリスクも出てきます。

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EURUSD

EUとイタリアとの2019年予算案をめぐる対立は先が見えません。ただ、その中で先週までは1.1210台をボトムとして上昇傾向が続いていましたが、1.1450超えを高値にユーロ圏経済の低迷に再び下落。1.1300~1.1450のレンジ入りなのか? 

Weeklyベースでは、過去4週にわたり、1.1216~1.1500をワイドなレンジながら、大枠のローソク部分では1.1300以下の買い、1.1400超えの売りのレンジ。今週は25日のEU特別首脳会談の結果にGBPUSD相場が揺れ、EURGBPの動き左右され、G20での米中首脳会談の思惑に上下しながらも、このレンジを意識しています。

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GBPUSD

ブレグジットを巡る報道に上下変動しながらも、先週一週間を通じて大枠で1.2750~1.2900のレンジに収まっているのは驚き。今週のGBPUSD相場は、25日のEU特別首脳会談の結果次第で大きく変化する可能性が高く、結果を見てから今後の相場を考えたいと思います。

ちなみに、事前の25日のEU特別首脳会議の声明草案(ロイター)で、「将来的に英国とできるだけ緊密な関係を築くとのEUの決意を欧州理事会は確認する」とし、欧州議会を含むEUの各機関は「離脱が秩序だったものになるよう、合意を確実に2019年3月30日に発効させるために必要な措置をとる」としています。懸案の漁業問題、環境基準、ジブラルタル問題については別の声明を発表する予定とのことで、ロイターが前日に入手した草案にはまだジブラルタル問題についての記述はなかった」とのことです。

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AUDUSD

先週は0.7325を高値に、0.7200~0.7300のレンジの動きが続き、Weeklyチャートでも0.7200~0.7350のレンジに入る可能性を示唆しています。長期的には底打ち反発を期待しているのですが、米中貿易問題がネックとなっていることを考えれば、30日の米中首脳会談の結果を見るまでは積極的に動けないと思います。また、AUDUSDと米国・豪州10年債利回りの差の連動性が高いことを考えれば、米金利の動向に目が離せず、パウエルFRB議長の発言も要注意です。

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