2017/07/16

今週の為替相場を考える(7月17日~21日)

今週の為替相場を考える(7月17日~21日)

最近の為替相場の変動は株式より金利に反応することが多く、7月12日のイエレンFRB議長の議会証言で「バランスシートの縮小を急ぐ一方で、追加利上げは慎重に判断」と、利上げに対してアクセルから足を離す状況へと変化したことで特にAUD+NZD+GBP+CAD+JPYで上昇の流れが強まっています。

今週の主な材料でも記載していますが、今週は金融政策と金融政策への影響度が高いインフレ・雇用指標の発表が非常に多くなっており、それぞれで為替相場が変動することは避けられそうにありません。(金融政策=ECB・日銀と豪中銀議事録、CPI=英国・カナダ・NZ、雇用統計=豪州)

先週末の弱い米CPIと小売や消費者マインドに米利上げ期待度は弱まり、米10年債利回りは2.386→2.330%へ、2年債も1.399→1.356%へと低下、逆に、独10年債利回りは0.573→0.597%へ、英10年債利回りも1.305→1.310%へ、カナダ10年債利回りは1.879→1.895%と上昇し、金利差の縮小がドル売り圧力となっています。

CME FedWatchでは12月13日の利上げ期待度は47.3→43.1%まで低下しています。米国は利上げレースに先行しながらも慎重になりやすく、他の主要国がじわじわと緩和縮小レースに迫っていることで、ドルインデックス(DXY)は昨年11月のトランプ米大統領の選出時の11月の水準99台を大きく割り込み95.10と昨年8月の水準まで下落している要因と思われます。

また、IMM通貨先物の主要7通貨(円、ユーロ、ポンド、スイス、カナダドル、豪ドル、NZドル)のネットポジションは、前週の-3,277→+7,840とネットでプラスへと転換。2016年5月24日の週から60週間続いたネットショート(ドル高思考)に変化がみられました。

このように、今週はメインとなる金融政策とそれに絡む経済指標に十分注意を払ったポジションテークをする必要がありそうです。


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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】



◎USDJPY【予想レンジ 111.80~113.50】

USDJPYは、金利差相場の中で他の主要国との金融政策の違いを注目した円安に備えた円ショートが拡大した中で、イエレンFRB議長の発言や先週金曜日の弱い米CPIと小売を受けた米金利の低下にトレンドラインのブレークでドル売りへと変化しています。

米金利の低下傾向が長引くようであれば話は別ですが、現状ではテクニカル売買でフットワークが軽い短期投機筋と円ショートの巻き戻しによる円買い以外の材料は考えにくいと思われます。

DailyのStochRSIは、K32.839、D71.583と売りに変化してからその流れの継続中となっています。200日MAは111.566にあり引き続き上昇を続け、LowとUpperはそれぞれ111.07~112.06にあり、この水準を割り込むまでは中長期の円安トレンドの変化も期待できそうにありません。

IMM通貨先物では、【円】-75,036→-112,125(-37,089)と、今週も円の一人負け。主要国の金融政策の違いがポジションにも表れ、ネットではショートNO.1で唯一ショートが拡大していますが、7月11日時点のデータで、その後円高が加速していることを考えれば、円ショートの拡大は収まっていること思われます。オプションの1Month リスクリバーサルでは、円コールオーバーで0.82→1.05とオプションの世界では円高を支持する動きが強まっています。


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◎EURUSD【予想レンジ 1.1350~1.1500→1.1600】


今週のECB理事会やドラギ総裁発言では、将来のQEの縮小をほのめかす内容が期待されます。独10年債利回りを含め欧州主要国の債券利回りは上昇傾向にあり、米国のとの金利差縮小がEURにとってフォローの風となっています。

今週に入っても1.1500の大台を超えられず上値は重いのですが下げ幅も限定的です。1.14割れか買い=1.1470台は売りと狭いレンジで推移し、足踏み状態が続いていますが、いずれは上値を試す動きが期待できます。

DailyのStochRSIは、K48.858、D59.5933で、売りを継続中ですが、先週と同じく逆にEURUSDの下げ幅は限定的で緩やかな上昇傾向を維持し逆向現象中となっています。200日MAは1.0841と遥か下に位置し、36日MAは1.1277でこれを大底として上昇傾向が維持されています。

IMM通貨先物では、【ユーロ】77,464→83,788(6,324)と再びユーロのロングが急拡大しています。6月13日の79,053コントラクトのロングポジションを上回り、引き続きドル売りをリードしロングは他を圧倒しNO.1。オプションの1Month リスクリバーサルでは、ユーロコールオーバーで前週の0.30→0.35とさらにその傾向が強まっています。


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◎GBPUSD【予想レンジ 1.3000~1.3250】

カーニーBOE総裁の発言で上昇したGBPロングの調整も終わり、GBPUSDは1.3100台を達成。遅かれ早かれBOEの債券買い枠の縮小は変わらず、英消費者物価でインフレ拡大が示されれば更なる上昇も。

DailyのStochRSIは、K42.66 、D60.24で、7月5日に売り変化したから久々買いへと変化していますが、水準はニュートラルに近く強い上昇は期待できそうにありません。200日MAは1.2553と遥か下に位置し、36日MAは1.2848でこの水準をボトムに上昇を維持しています。終値ベースでは過去に超えられなかった1.3050を上回り昨年9月の水準へと上昇したことで、上昇の流れが続きそうです。

IMM通貨先物では、【ポンド】-27,767→-24,138(3,629)とショートが小幅低下しています。煮え切らないポンドですが、ユーロがロングへと変化しても、なかなかロングへ転換できずにいます。ただ、ネットポジションは再び減少傾向にあり先週同様に弱さは感じられません。オプションの1Month リスクリバーサルでは、0.30→0.30と変わらずで、オプションの世界では相変わらずポンド弱気ムードが支配される中でスローな動きを継続しています。

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