2017/07/30

今週の為替相場を考える (7月31日~8月4日)

今週の為替相場を考える (7月31日~8月4日)

今週は米雇用統計がメインイベントで、下落基調のドルは下げ止まるのか、逆にさらに売りが加速するのでしょうか? それとも、中銀がスピード違反でドル売りに(自国通貨高)ブレーキを掛けようとするのでしょうか?

最近の気になったドルのネガティブ要因を挙げてみましたが、最近の傾向として政治的な材料にドル相場の反応は鈍いものがあります。
1.議会で連邦債務上限の引き上げ合意の遅れ。
2.米共和党指導部は税制改革のための国境税の導入を見送る。
3.米上院は共和党のオバマケア一部撤廃法案を否決し、選挙公約のオバマケア廃止は現状では失敗。
4.プリーバス首席補佐官を更迭
5.IMFの報告ではドルは10~20%過大評価。

今週から8月に入り夏休みで、市場参加者が減少する時期になります。個人投資家は会社や家族の事情で異なりますが、外資の金融機関で2週間~3週間の夏休みに入る人もいます。為替相場は、「利上げ実施・期待の通貨高=できない通貨安」の図式は変わっていませんが、各国の異なる金融政策に個別に反応しやすくなっています。

7月12日のイエレンFRB議長のハト派の議会証言から始まったドル売りの流れは、先週26日のFOMCで「早期の資産縮小の開始」と「慎重な利上げスタンス」に米金利が低下しており、DXY(ドルインデックス)は2016年4月来の安値となる93.26で終了し、最近のドル安でインフレ圧力の低下もドル売り要因とも考えられます。

一方、EURUSDはECBの緩和策の変更期待やユーロ圏の政治的な安定に、2015年1月来の高値を更新し続けていますが、IMFの報告ではユーロ相場はファンダメンタルズに合致といいながらも、ドイツだけを見ると10~20%過大評価とやや困惑気味。

CADも追加利上げ期待と原油価格の持ち直しに強く、AUDは商品価格の持ち直しとやや強い中国経済を背景に利上げ期待もあり上昇を続け、中銀の通貨高や利上げ期待を削ぐけん制発言にも底堅く、JPYは米金利の低下にUSDJPYの上値は重くレンジ相場の下限を試す動きが続いています。


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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】



◎USDJPY【予想レンジ110.05~112.50】

ドル円は、引き続き唯一利上げや緩和縮小とは無縁の通貨で、最近の3週連続し円高傾向は投機的な円ショートが大幅に積みあった状態の調整の過程と考えます。その引き金はドラギECB総裁の議会証言とFOMC後の米金利の低下で、米債利回りがどこまで低下するかが大きなカギとなっています。

機関投資家は外債投資でヘッジコストを考えると積極的に打って出にくい水準との観測もあり、今週の米雇用統計を受けた米債の動向を見守る必要もあります。IMFの報告では現在の円相場の水準はファンダメンタルズと合致とありますが、米貿易収支の赤字額が拡大した場合にはムニューシン米財務長官の発言も気なります。

StockRSIのDailyでは、K=13.64、D=8.77と売られすぎゾーンにあり、先週同様に通常は反発する可能性が意識されますが、強いダウンサイド圧力の継続なのでしょうか、USDJPYのプライスは下落傾向にあります。200日MA=112.00を3日連続し割り込み、ダウンサイドのリスクが続いています。

IMM通貨先物では、【円】-126,919→-121,489(5,430)と、5週間ぶりに前週比でネットのショートが減少しましたが、円は一人負けの流れは変わっていません。USDJPYオプションのリスクリバーサルでは、1週間は-1.0~-1.1前後とドルプット・円コールが上昇気味ですが、1か月から12か月では逆にドルプットが低下気味で推移しています。

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◎EURUSD【予想レンジ 1.1600→1.1850 OR、1.1700~1.19000】

EURUSDの上昇傾向は変わっていませんが、今週は1.18の大台が強く意識され、1.1800近辺を超えて上昇傾向を続けるのか、1.1800近辺をピークに利食いの売りへと変化するのか、ユーロ圏と米国の経済指標の結果を見守る動きが予想されます。

今週発表の米雇用統計の結果で為替相場が変化することは間違いありませんが、他の材料では上昇傾向を維持するためにはユーロ圏のGDPとCPIが予想通りかより強くなることが要求されそうです。

EURUSDは1.1600をボトムとした上昇過程を維持していますが、1.1500を超えた直後の上昇力の強さはやや弱まっており、EURCHFの援護を受けた上昇力も先週ほど期待できず、EURJPYやEURGBPは逆にやや低下気味で強さは見られません。

StockRSIのDailyでは、K=78.06、D=83.74と買われすぎゾーンからやや低下し売りに変化しています。先週と同じきょうに、200日MA=は1.0870と遥か下の水準に位置し、最近の動きでは36日MAで下げ止まる動きが続いていますが、その線も1.1390 と現状の1.1750近辺から下方に位置しており、WeeklyベースのMA=1.1795(約1.1800)がより意識されます。

IMM通貨先物では、【ユーロ】91,321→90,842(-479)と、5週間ぶりに前週比でネットのロングが減少していますがユーロは一人勝ちの流れは変わらず。オプションのリスクリバーサルでは、1か月~3か月はユーロコールが拡大し、6か月もユーロプットからオールへと変化し、9か月から12か月ではユーロプットながら縮小傾向にあり、EUR高思考は変わっていません。


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◎GBPUSD【予想レンジ 1.2900~1.3250】


GBPUSDは打たれ強く緩やかな上昇を継続。18日の英CPIが予想外に弱く一時売り圧力が強まりましたが、英GDPは予想通りでBOEの早期のテーパリング期待が薄らぐ中で、結果はボトムを1.30から1.31へ上昇させながら底堅い動きとなっています。

今週の米雇用統計はもちろんですが、3日のBOEの政策委員会の結果次第で為替相場が動くことは避けられず、上下の最大値は1.2900~1.32500±30pipsのレンジ幅で推移すると思われます。

StockRSIのDailyでは、K=70.50、D=57.19売りから買いへと変化していますが、水準的にはニュートラルゾーンに位置します。先週と同じく、200日MA=1.2591にあり遥か下方に位置し、26日MA=は1.2891にあり、安値・高値ベースの26日MAは1.2891~1.2941でこのゾーンが底値になる可能性が高と思われます。

IMM通貨先物では、【ポンド】-16,473→-26,197(-9,724)と、3週連続でネットのショートが減少し、ロングへと転換が期待されましたが逆にショートが小幅拡大し転換は先送りとなっていますが、集計後のポンド高で若干の期待感もあります。GBPUSDオプションのリスクリバーサルでは、GBPプットで変わりませんが、1週間~6か月までが低下気味でポンド売り圧力も弱まっています。


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