2016/04/17

今週の為替相場を考える(4月18日~4月22日)

2016年4月17日(日曜) 今週の為替相場を考える(4月18日~4月22日)

詳細なコミットメントは難しいと思われている17日(日曜)のドーハ産油国会議。この結果で為替相場もブル・ベアどちらの方向にでも動くことになりそうである。

先週は、ロシア・サウジ原油増産凍結で合意との報道で一時42.25ドルへと急進しており、金利、株価、為替相場への影響は大きいものがある。本当に増産凍結で合意することができるのか、できないのか? 仮にできたとしたらそれが実行できる可能性はどうなのか? 今週の為替相場はこれが週明けから最大の試練なることは間違いない。

参加国で増産凍結の合意ができ、イランやブラジルが不在と思われる中で、それを厳守することができるのか?そのインパクトはいかほどなのか、ということになる。

米シェールオイルの生産は7カ月連続で減少しており、原油価格の更なる上昇につながる可能性もある。思惑的には、原油高=株高=円買いで、豪ドル+NZドル+カナダドルの買い要因となる。逆に、失敗に終わると、原油安=株安=円売りで、豪ドル+NZドル+カナダドル売りが進むことになる。

先週火曜日(4月12日)発表のCFTCの通貨先物では、7通貨(円、ユーロ、ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル、NZドル)の合計ネット・ポジションは、+17,292コントラクトとなり、2013年10月29日以来となる歴史的なプラスへと転換をむかえている。つまり、ドル売りへと変化していることになる。

逆に、FRB公定歩合会合の議事録では、2名が0.25%の利上げを支持していたことが判明。ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁は、条件次第ながら年内3回の追加利上げが可能とある。また、地区連銀経済報告(ベージュブック)では、2月下旬から4月上旬にかけて米経済活動が引き続き拡大。12地区中11地区で賃金が上昇、いくつかの地区は賃金の上昇圧力が強まる兆しとあり、今後の利上げ見通しに対してやや強気になっており、潜在的なドル買い要因となっている。

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◎【EURUSD 予想1.1150~1.1400】→ 原油価格に伴うリスクオフ・オンでユーロ相場変動は避けられず。

原油価格との連動性はそれほど高くはないが、ドーハ産油国会議の影響は避けられず。原油価格の下落=新興国通貨+資源国通貨安=ユーロ買い(安全資産)に動く可能性も考慮へ。逆ではユーロ売りへ動くと思われる。

先月末から続く1.14台中心の相場も、1.1500の大台を達成することもなく先週は逆に1.13を割り込み、上昇スタート水準近くへと値を下げている。今週のECB理事会では金融政策の据え置きが予想されており、ECB理事会の決定とドラギECB総裁の記者会見は台風の目であることは間違いないが、大きな変化は予想できず。

6月23日の英国民投票の結果によるインパクトはユーロ圏がより大きいとの予測もある。ポンド相場のみならず通貨ユーロも大きな影響を受けることは避けられず、EURUSDの上昇力を削いでいるが、テクニカルベースでは上昇を維持し、1.1200割れの滞空時間が短く1.1300台を維持していればその景況は変わらず。

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◎【GBPUSD 予想1.4000~1.4400】→ 原油価格+6月23日の英国民投票の予測で動きは変化。

英国は小さいながらも産油国だが、原油価格との連動性はそれほど高くなく、原油価格の上昇=なぜか弱いポンド売りとなっている。より6月23日の英国民投票の思惑でポンド相場が変動することが多くなっていることがその要因と推測している。

最近は1.40~1.45の500ポイントレンジで推移、上値も気下がり=下値も切り上がる持合い相場で、約2か月後に迫っている国民投票へ向け相場が大きく変化する可能性を示唆している。

今週は、カーニーBOE総裁の議会証言+英雇用統計により相場変動が期待できるも、1.4~1.44のレンジを抜け出すことは難しそうである。

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◎【AUDUSD 予想0.7400→0.7700】→ 原油高連動の豪ドル相場で、ドーハ産油国会議の影響は避けられず。

原油価格と豪ドル相場の相関関係は非常に高く素直に、原油高=豪ドル買い、原油安=豪ドル売り動くと思われる。

豪中銀議事録やスティーブンス豪中銀総裁発言も相場変動要因となっているが、原油価格の変動による豪ドル相場の動きに比べたらインパクトは小さい。

原油価格の変動を別に考えると、テクニカルでは最近の原油高傾向を反映しているのか、上昇圧力が続き。Daily&Weeklyチャートでも高値を更新、上昇力が強いことがうかがわれる。

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◎【USDJPY 予想105.00←107.50~110.00→111.50】→ 原油価格の上下による、リスクオン・オフで円相場が決定へ。

ルー米財務長官は「為替介入による競争的な通貨切り下げは容認できない、準備通貨としてのドルの地位を当然と思うべきではない」との主張を維持している。日本政府は現段階で円売り介入を実施することは難しい。

間接的な円売りにつながるような公的機関による積極的な外債・外株の購入に頼らざるを得ない状況から、必然的な円売り相場へ変化することができるのか?

IMFは世界経済見通しを下方修正し、特に日本は大幅に下方修正を、逆に中国は上方修正している。日本の2016年の成長率予測を0.5%へと半減、2017年はマイナス成長を予測し、円売りへと動いたこと記憶に新しく、先の日銀短観のサプライズもあり、潜在的な円売り要因となっている。

円ポジションであるが、CFTCのポジションにもみられるように、テクニカルベースで将来の円高を見越した円ロングポジションは積み上がっていることも事実で、109.50円を超え110円台が定着できるような状況にでもなれば、投機筋の円売りが強まることも予想でき、逆に108円台で上値が重くなるようなら更なる円高につながる可能性が高くなる。

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