2016/07/10

今週の為替相場を考える(7月11日~15日)

今週の為替相場を考える(7月11日~15日)

とりあえず、週末8日の米株の上昇の影響にどこまで、株高=円売りが進むのでしょうか ?

相場の焦点は、英国のEU離脱選択による政治的・経済的な不安感をぬぐいきれずにいますが、今週の為替相場は、ポンド売りがどこまで、いつまで続くのでしょうか? これが大きなテーマ。

英国のEU離脱選択に伴うリスク回避で、為替相場の動きはどうなるのでしょうか? 先週の値動きを見てもわかる通り、当事者の「EUR+GBPは弱く」、安全資産の「USD+JPYは買われやすく」、影響が少ない「AUD+NZDの買い」の動きは変わらず、今週も個の値動きをベースにして考えたいと思います。

FOMC議事録からもわかる通り、英国のEU離脱の影響を見極める状況となっていました。先週末の予想外に強い米雇用統計にも関わらず、年内の利上げを期待する声は乏しいのが現状です。

さて、日本は10(日曜)が参議院の投票日。政権の基盤を盤石にし、政府による経済対策と日銀の追加緩和を期待する声は大きく、期待薄の政府・日銀の円売り介入よりも、今後の円売り材料となっています。

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先週までの動きを振り返ってみたいと思います。

【英国売りの材料は多い】
①ムーディーズは英成長率を引き下げ、EU域内に伝染することが最大のリスクという。
②英国では投資家が英不動産ファンドから手を引こうと解約請求が急増、数兆円規模が凍結となった。
③カーニーBOE総裁は、銀行の自己資本積み増し規制を先送りして、銀行の資本負担を減らす動きへ、追加緩和の可能性を示唆し
④BOEの金融政策決定会合(7/14木)には利下げをする可能性も出ている。
⑤イタリアでは銀行の不良債権問題が表面化し、公的資金の必要性が問われている

【英株高+ポンド安】
GBPUSDはWeeklyベースで3週連続の下落で、大幅なポンド安が続く反面、意外にも英株は先週、若干の上昇にとどまったものの、3週連続で上昇し、特に6月27日の週では7.15%と急伸し、上昇幅では他の市場を圧倒し、米国株は4月の高値水準を目指している。反面、欧州株と日本株は伸び悩み、異なる動きとなっている。

【世界的な金利低下=安全資産の国債買い】
日本、米国、ドイツ、英国などの主要国では、軒並み債権利回りは低下し、過去最低記録を更新、あるいは最低水準に近づくなど、リスク資産から安全資産へのシフトが続き、世界的な金利低下は止まらず。

【為替相場は】
ドル円相場は、英国のEU離脱選択を決定し99円割れまでドル売り・円高が進んだあとは4日間上昇し、逆に6日間下落しているが、99割れを試すどころか100割れも満足に試すことはできないでいる。

それでは、底堅いのか? と言えば、102.50円で天井感が強く、戻り売り相場が続いていることも間違いないと思われる。

過去3週間の相場変動を比較すると、GBPUSDは3週連続して大幅下落のポンド安が続き、USDJPYは円高傾向が続き、AUDUSD+NZDUSDは、意外にも3週連続で上昇、AUD高+NZD高の相場となっている。


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【通貨ペア別のレンジ予想】


◎USDJPY 【予想レンジ 99.50~102.50円】 
《円高の流れが続くも、不安定な状況は変わらず》

市場参加者の多くが予想して止まない円高、その圧力に変わりはないと思いますが、英国のEU離脱選択から2週間を経ても、安値98.80円を試すこともできずにいます。いや、100円割れの水準さえも満足に試して無いのが実情ではないでしょうか?

円はクロスで円安傾向なっているのなら話は別ですが、GBPJPYはもとより、CADJPY+CHFJPY+EURJPYでも円高傾向を維持しています。

遅かれ早かれ、円高水準がどこまで続くのかを試すと予想はしていますが、米株高の流れ+参議院選挙の結果で、与党が圧勝することにでもなれば、「景気対策+追加緩和」の可能性が高まり、「日本株上昇=円安へ」と一時的に変化する可能性も意識する必要がありそうです。


◎EURUSD【予想レンジ 1.1000~1.1200】 
《EUR売りの流れは続くも、目先はレンジへ》

英国のEU離脱選択がEU域内へ与える影響は、今後どの程度深刻化するのかは不明で、ユーロ先安感は払しょくできず、戻り売り圧力は当面続くことが予想されます。

ただし、USDJPYと同じく2週間を経ても、1.0910近辺の安値をトライできず、現状では1.1000の大台は固くなっており、米早期利上げが難しい中では、この水準を割り込むには新たな売り要因が必要となっています。

BOEが期待通り政策金利を引き下げ、今後の追加緩和や資産買い入れ枠の増額を示唆する発言でも飛び出せば、「GBP売り=EUR売り」が加速し1.1000の大台を割り込む可能性は高くなることでしょう。そうでなければ、戻り売りをじっくり待つことも選択肢では?


◎GBPUSD【予想レンジ 1.2800~1.3100】
《GBP売りの流れは続き、売り加速にはBOEの利下げが必要》

英国のEU離脱選択がEU域内へ与える影響は、今後どの程度深刻化するのかは不明で、ポンド先安観は払しょくできず、BOEの利下げ期待もあり、戻り売り圧力は当面続くことが予想されます。

GBPUSDは、24日の終値1.3660水準からギャップを明け、戻りを達成できず、中長期でこの水準を超えることができるのか? 今後の大きなポイントになっています。

一方、目先では1.3050の壁が大きく立ちはだかり、1.2850~1.3050のレンジを脱することはできずにいます。過去3日間の終値水準を見ると、1.3050を超えられず、逆に、終値では1.2900を割り込めずと安定した値動きで、BOEの利上げの有無と、今後の見通しが短期的に方向性を決めると思われます。


◎AUDUSD【予想レンジ 0.7450~1.7650】
《AUDの底堅さは変わらず》

過去7営業日で0.7450をボトムに、S&Pの豪州格付け見通しの引き下げたにも、関わらず底堅い展開となっています。低金利続く中で、1.75%の政策金利は魅力的なのか? 英国のEU離脱への影響が少ないとみているのでしょうか? いずれにしても、24日の一時的な下落の後の相場展開から底堅いとしか考えようがありません。

リスクとしては、13日の豪雇用統計の予想外の悪化と、中国経済の低迷が予想外に吹き出すことで、7月15日の中国第2四半期GDPは注意が必要です。


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