2016/07/10

最新のIMMポジション(7月5日集計分)から

最新のIMMポジション(7月5日集計分)から

リスク回避行動は止まらず。円のロングが増加、カナダドル+NZドル+豪ドルも増加傾向(マイナス幅の縮小)が続く。逆に、ユーロ+ポンドのショートが増加。

7通貨(円、ユーロ、ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル、NZドル)の合計ネット・ポジションは、-37,095コントラクトと、前週の-30,857から通貨のショートが6,238増加、水準的には6月7日の週-85,938や6月21日の週の-85,938を大幅に下回ってはいますが、市場のドル高センチメントは依然として変わっていません。

この数字には、先週金曜日に発表された強い米雇用統計は反映していませんが、全体的に変動が落ち着く中で、ポンドの売は変わらずとなっています。

現在の通貨ショートの水準は過去と比較すると大きな数字ではありません。投資家や資本筋かは安全資産のドル資産へと向かう中で、投機筋はやや慎重な姿勢が続いていいるように思えてなりません。

今回の数字から市場センチメントを判断してみると、市場参加者の多くが考えている通り、英国のEU離脱による影響が続いていることがうかがえます。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

◎円、59,750→63,568(3,818)
安全資産としての円買いに、円ロングは若干ながら増加していますが、熱狂的な円買いとは思えません。

ネット6万コントラクト台は1月5日にショートからロングに転換してからのピーク71,870に近く、5月3日来の水準ですが、絶対的には大きな数字ではありません。

日銀による追加緩和と政府による景気刺激策、そして、円売り介入の懸念(この水準であるとは思えませんが)など、投機筋が熱狂的に円を買いにくい状況にあります。これらを確認しながら、英国のEU離脱選択後の不安定な英国とユーロ圏経済に、今後も円ロングポジションが増加傾向にあると思います。


◎ユーロ、-61,934→-75,327(-13,393)
前週からネットショートが大きく拡大し、水準的にも3月15日の水準近くに位置しています前週は英国のEU離脱選択の決定にも関わらず、ショートポジションの増加は-588と限定的となっていましたが、今回はポンドの-6,320コントラクトを上回る売り圧力となっていました。

しかしながら、年初来のピーク時の-16万台から低下しており、投機的な動きより、投資家や資本筋の根強い動きと思われ、予想外に投機的なショートが少ないことが、今後の相場にどのような影響を与えるのか、気になります。


◎ポンド、-42,711→-49,031(-6,320)
さて、今回の主役ともいえるポンドですが、ショートは-6,320コントラクト拡大しています。水準的には過去の水準を比較しても安定水準で、ユーロ同様に投機的な動きより、投資家や資本筋の根強い動きと思われ、今後の投機筋の動向が気になります。

英国のEU離脱による政治的・経済的な動き次第でもあることや、相場変動が極端に激しく、短期投機筋が相場変動率に合わせ、ポジションを抑え気味になっている可能性もあります。


◎スイス、10,867→8,678(-2,189)
安全資産に類するスイスフランですが、ロングポジションを維持してはいますが、スイス中銀のEURCHFの売り介入の影響もあるのか、減少しています。


◎カナダドル、7,949→11,517(3,568)
英国のEU離脱選択後の動きで、ロングが増加傾向にある通貨の一つで、原油価格の安定した動きや、資源価格の上昇も買い要因となっています。ただ、水準的には小幅なロングポジションにとどまっており、急伸は期待できそうにありません。


◎豪ドル、-1,952→4,903(6,855)
ネットポジションは6週間ぶりにショートからロングへと転換し、スポットの水準もドル高の中では安定しています。

資源価格の上昇や、同じ旧大英帝国に属する国ですが、英国のEU離脱選択後の変動を受けにくい圏内に属するとの判断なのか、中国の成長が不安定な中でも、今後もプラス思考が続きやすくなっています。

◎NZドル、-2,826→-1,403(-1,403)
6月14日の週からネットはショートに転換していますが、ショートは減少傾向が続いています。豪ドルと同じく同要因で、旧大英帝国に属する国ですが、スポット市場で予想外に買いが強く、今後もプラス思考が続きやすくなっています。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※