2016/03/20

2016年3月21日(日曜) 今週の為替相場を考える(3月21日~3月25日)

2016年3月21日(日曜) 今週の為替相場を考える(3月21日~3月25日)

 先のFOMCから相場の流れが再びドル売りへと変化している。最近の相場変動を思い浮かべてみると、原油相場の持ち直しと株価の上昇が目から離れられないが、きっかけとなったのは米利上げペースのスローダウン。

 原油価格(WTI)は2月11日の26台をボトムに一時41ドル台まで続伸。一方、米株(ダウ平均)は2月11日の安値15,500ドル近辺をボトムに17,600台まで続伸、新興国の株もこの日を境に上昇傾向が続いている。

 この流れが変化した2月11日と12日には、イエレンFRB議長の上下両議院での議会証言の日に当たる。議長は、世界的な金融情勢が景気減速につながる可能性と、ドル高が米経済と雇用に与える影響を指摘、政策当局者が予想する2016年の利上げとの道筋が外れる可能性を指摘していた。

 そして、今回3月16日のFOMCでも年内の利上げ予測を4回から2回へと修正したことがドル売りへつながったきっかけと思われている。

 今週の相場はこのような情勢の中で、テクニカルではドル高トレンドを維持する通貨ペアも多く、通貨ペアによってはややドルショートになりすぎている危惧もある。イースター休日を前にしてどこまで長期的に続いたドルロングの調整が続くのかを注目。


本邦は3月の本決済の影響を受け、海外でも四半期決済の影響を随時受けることになる。また、長期的には10年債利回りを比較すると米国の1.9%近辺に対して、日本は水面下のマイナスで、ドイツもかろうじて0.2%台を維持、英国でさえも1.5%前後と、相変わらずドル金利が優位性を維持。

 このような情勢の中で、EURUSDは、3月10日にECBは予想外の金融緩和パッケージを実施し、ドラギECB総裁は緩和打ち止め宣言ともいえる発言をし、一機にユーロは急進。


GBPUSDは、2月22日にEU首脳会議は、英国がEUに残留することを目的にした改革案を承認し、6月23日に国民投票の実施を発表。この日を前後して原油価格の上昇もありポンドは急進。


AUDUSDはさらに極端で、年初から上昇傾向を続けている通貨の筆頭。コアCPIは2%を上回り、GDPは3%、10年債利回りは2.5%台、これで通貨が上昇傾向にあり、中国経済が落ち着き、原油や資源価格が上昇すれば、なおさらである。

 さて、円はテクニカルでは円高傾向は止まらず。先のG20でも通貨安誘導はご法度と、中国と共にくぎを刺され、116円のボトムラインを割り込んでから円高景況は止まらず、110円の防波堤も空前の灯で105円の幻と思われていた大きなポイントがかすかに現実味を浴びている。


ただ、ファンダメンタルズで考えれば、消費増税も先送り感が強く結局は日本株にとってはプラス材料残り、引き続きドル高に分があることは明白で、ブル派・ベア派のせめぎ合いが今後も続きそうである。

 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 【EURUSD 予想1.1100~1.1400→1.1500】

ユーロ圏の経済指標はやや底打ち感がみられるも、通貨当局者の発言は予想外に慎重で追加緩和の可能性を肯定し続け、その方向性の違いにやや違和感を覚える。今週はイースター休日の連休に、前回2月11日の高値1.1380近辺を超えることができるかが重要で、1.1200を割り込むと200日MAは1.1100にあり当面はこの水準がボトムラインになりやすい。

 【GBPUSD 予想1.4200~1.4600】

6月23日の英国民投票の世論調査では、EU離脱支持と不支持が拮抗しており、基本はポンド買いだけに傾斜することはできない。イースター休日の連休を控えていることや、四半期決済の3月末が近づいていることも変動幅を拡大させる要因になりやすい。GBPUSDの2月11日の高値1.5240近辺から安値1.3830の50%戻し1.4540、61.8%が1.4705にありこの水準が当面の上値ターゲットになる可能性が高く、底値は1.4170近辺がボトムになりやすい。


【AUDUSD 予想0.7400~0.7650】

引き続き商品価格との連動性を気にしながらも、200週MAを3週間前に上抜けし上昇トレンドは変わらず。ただ、0.76~0.78の水準は2015年前半に揉みあいが続いた水準で、売り圧力が強まる可能性も高い。AUDUSDは0.7380~0.7400を超えて新たな上昇がスタートしており今週は下限として重要なポインとになっている。


【USDJPY 予想110.50~113.50】

Weeklyチャートでは、110~115円の5円レンジに入っているようにも思えるが、先週は過去5週間の安値を更新してクローズし、引き続き円高水準をトライの最中。先週は111円割れをボトムになんとか下げ止まってはいるが、反発力も鈍く、112.50円を確りと超えるまでは円高へのプレッシャーは消えず。上値は113.30、114.85円と大きなポイントが控えている。



※※※※※※※※※※※※※※※※