2016/10/02

今週の為替相場を考える(10月3~7日)

今週の為替相場を考える(10月3~7日)

最近の為替相場の相場変動のリスク・材料は、①米大統領選の行方と米利上げの有無とその時期、②ドイツ銀行の金融リスク、③日銀の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の有効性。④英国のEU離脱の時期と影響。⑤OPEC減産合意期待の原油価格上昇。

これらは特に今週の為替相場で重要ということではなく、先週もこれらを材料として、特に日本時間では株価に連動して円相場が動くことが多かった。

今週の注目材料は(別途、今週の注目材料でも記載しています。)
1.4日の米副大統領候補討論会+9日の米大統領選第2回目のTV討論会
2.6日のG2(ワシントン)、7~9日のIMF年次総会、8日の世銀・IMF合同開発委員会
3.主要な経済指標+発言(米雇用統計を中心にした米経済指標、豪中銀金融政策、FRB理事+連銀総裁発言)

市場のセンチメントは、IMMポジション(27日現在=米大統領選第一回TV討論会の影響は反映できていない)を見ても、ドル先高期待は強く、その中で円だけが大幅なロングで、ユーロとポンドはそれぞれの理由で大量のショートを継続し、ユーロはやや減少するも、ポンドのショートが拡大、市場の円高+ユーロとポンドの先安感が続いている。

オプションのリスクリバーサルを見ても、USDJPYはJPYコールオーバーで短期から長期も変わらず、円高方向を示唆している。EURUSDは、EURプットオーバで変わらず。GBPUSDはGBPプットオーバーで変わらず、オプションでも円高+ポンド安+ユーロ安方向で変わっていない。

ただ、相場の変動要因は国別により事情が異なる。

①米国発でドル相場の変動要因は、米大統領選とFOMCの決定からくる株価+金利変動がドル相場を動かすこと。つまり、10日の米大統領選第2回討論会と、7日の米雇用統計で今週のドル相場の流れが変わると考えてもいいだろう。また、IMFが米国の成長率予測を引き下げる可能性が気になっている。

②ドイツは、米司法省がドイツ銀課した最大140課徴金。ドイツ政府による救済を否定し金融不安が広まったが、米司法省は54億ドルへ減額見通し+ドイツ銀行がAbbey Life約11億ポンドで売却など、週末には株価も上昇へと変化。このドタバタにもEURUSDは1.1150割れをボトムに1.1150~1.1280のレンジで以外にも底堅いイメージな拭い切れずレンジ相場に入っている。

③日本は、日銀が21日に決定した、長短金利操作付き量的・質的金融緩和が株価に与える影響が円相場に与える影響が大きい。21日以降の日経平均株価は、大枠で16300~16800の500円のレンジに入り、USDJPY相場も発表直後の102.80円近辺の円安値を例外と考えれば、大枠で100.00円~101.80円の1.8円レンジで推移している。

日銀の新たな政策が失敗することは日銀や政府は決して許されることではなく、ある意味では本腰を入れてサポートに入る覚悟とも考えられ、100円の大台が今後も大きな壁となってくることは間違いない。国外の要因でこの水準を割り込むには、海外発の強い材料が必要となってくる。(IMFの米経済

④英国は、ハモンド英財務相の早期EU離脱の可能性や、EUの単一市場へのアクセスを諦めなくてはならない可能性が指摘された16日からポンド安の流れが続いている。8月15日の安値1.2875を割り込んではいないが、市場では追加緩和の可能性をも意識、ポンドを買い戻すには何らかの材料が必要となっている。

⑤11月のOPEC総会で減産合意期待が強まり、原油価格(WT)は48ドル台へと上昇。一般的にリスク選好パターンの期待に、リスク回避通貨の円に対してはマイナス要因で、カナダドル+豪ドル+NZドルにとってはプラス要因。ただし、50ドルを超えているわけでもなく、今後の推移を見守る必要がありそう。


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【通貨ペア別のレンジ予想】

◎USDJPY【予想レンジ 100.50~102.50】
過去4日間は陽線引けで、底値が切り上がっていることが気になる。円クロスでもポンドやユーロの悪材料にもかかわらず、原油高の影響なの円高とならず、目先は円の強さは感じられないが。ただし、米大統領選討論会のリスク+IMFの米経済成長の下方修正のリスク等、積極なドル買いとなるかも疑問。

◎EURUSD【予想レンジ 1.1150~1.1300】
ドイツ銀行の金融不安のリスクもやや後退。予想外の底堅いEURUSD相場ながら、ユーロ圏発で積極的にEURを買い戻す要因は、ショートカバー以外に見当たらず。引き続きレンジ相場を維持。

◎GBPUSD【予想レンジ 1.2800~1.3100】
再燃する英国のEU離脱のリスク。英国発の経済指標は意外にも強いが、どうしても今後の英国経済へのリスクや、BOEの追加緩和のリスクを考えると、期末要因や溜まった目先の温度ショートカバー以外には積極的にポンドを買う要因が見当たらず。

◎AUDUSD【予想レンジ 0.76000~0.7750】
原油価格、商品価格の上昇はプラス要因。4日の豪中銀の金融政策は据え置きと思われるが、いつもながら声明では自国通貨安誘導のリスクが残るも、0.7600をボトムとしながら緩やかな上昇が期待したい。