2016/01/10

今週の為替相場を考える(1月11日~15日)

今週の為替相場を考える(1月11日~15日)

2016年の為替市場は、飛び出した瞬間から激震に遭遇し、そのショックから立ち直ろうとして必死にもがいているように感じられます。

リスク回避の動きに為替相場も二極化し、 ドル高+円高+ユーロ高と、カナダドル安+NZドル安+ポンド安の流れが続いています。

中国経済のスローダウンから始まり、中国政府の人民元安誘導と中国株の急落、イランとサウジの対立と、原油価格の続落。それに、北朝鮮の核実験の突然の報道に、世界的に株安の流れは止まらず。

米利上げを後押しした、フィッシャーFRB副議長いわく「中国経済のスローダウンと地政学的リスクが高まった」と危惧を表明。

為替市場はもちろんのこと、金融市場全体もリスク回避の流れは続いています。安全資産のドル買い+円買い+ユーロ買いへと動き、株価は下落し、債権価格は上昇、商品価格+原油価格は続落傾向を続けています。

原油価格と連動性の高いカナダドルですが、USDCADは2004年4月の高値1.4002を超え12年ぶりの水準となり、CADJPYは2012年11月の82.926を割り込んでおり、テクニカルベースでも弱さが際立っています。

今週もその動きが続くのでしょうか? それは、いったいいつまで続くのでしょうか?

先週発表されたFOMC議事録では、利上げ決定は僅差の決定だったことや、先週末に中国政府はようやく人民元安と株安対策を実施したことは、相場安定に向けた一歩と考えていいでしょう。

しかし、中国からの膨大な資本流出に歯止めがかかるとは思えず、先週末の強い米雇用統計に3月利上げの可能性が強まり、一時的な値動きは別として、大きなドル高の流れを変えることは難しそうです。

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ドル相場

直近の急速なドル高の流れに、今週発表の米輸入物価指数は低下が見込まれ、当局の反応に注意が必要となっています。

しかしながら、弱い中国経済と商品価格の低迷、中東と北朝鮮の地政学的リスクのヘッジとしてのドル買いと、昨年から始まった米金利引き上げによる金利差拡大期待に、ドルは相変わらずプラス材料が多く残っています。

このような状況が暫く続くことが予想され、一時的な反動は別として、ドル高の相場の流れに変わりありません。

ドル高の中で、強さが目立った、USDJPYの下落+EURUSDの上昇は何処まで継続できるのでしょうか? 共に鍵を握るのはクロスの動きで、今週はこの動きを見極める必要があります。


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【EURUSD 予想1.0800~1.1000】

QEで積み上がったEURショートポジションの巻き戻しと、新興国のヘッジとしてのリスク回避のユーロ買いが、ドル高の中でEUR買いの原動力となったと思われます。

今週のECB理事会の議事録は多くを期待していませんが、テクニカルベースでEURUSD1.1000を瞬間ではなく安定的に超えることができるのでしょうか? 今週のEURUSD相場を占う重要なポイントで、達成できなければレンジ相場に逆戻りと考えます。

【GBPUSD 予想1.4400~1.4700】

安値を更新し1.45台へと売りの圧力止まらず。弱い原油価格に加え、米国に次ぐ利上げ期待は影を潜め、EU離脱を問う国民投票の早期開始の可能性も影響し、2010年5月以来の水準となる1.45台へと下落。

EURGBPやGBPJPYなどのクロスでのGBP売りは激しく、先週のGBPUSDは5日間連続の陰線引けへ。1.4800を超えない限り強さは感じられず。


【AUDUSD 予想0.6900~0.7150】

0.7100を割り込み続落傾向が止まらず。危惧された中国経済のスローダウンと人民元安誘導と株価急落、商品価格の続落にリスク回避の圧力が強まる。

下値めどは昨年9月の安値0.6900台で、0.6800を割り込むと、2009年3月の上昇スタートの水準となる0.6400まで底値は見えず。そこまでの2週連続の大相場も考えられず、0.6900~0.7150のレンジ内で動きを予想。


【USDJPY 予想116.00~119.00】

昨年の暴落時の水準116円を意識。

リスク回避の流れと、日銀の追加緩和期待の弱まりに、ドル高傾向の中で、クロスでの円買いが続きUSDJPYは1週間連続し陰線引け。

今週も株価と連動した動きが続きそうですが、昨年株価暴落時の動きを思い出します。昨年8月24日の「株崩壊+EM暴落で、中国と貿易関係の強い国の通貨+国際資源輸出国の通貨は暴落」、この日のUSDJPY高値122円→安値116.13円と一日して5約5.8円暴落し下げ止まり、そこから123.70円台まで上昇していました。この歴史的な水準をどうしても意識してしまいます。

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