2016/01/17

今週の為替相場を考える(1月18日~22日)

今週の為替相場を考える(1月18日~22日)

2016年の幕開け第2週となる先週の為替相場は、第1週からやや変動は弱まりましたが、中国経済が起因といわれている、世界的な株安と原油・商品価格の下落は収まる気配は見えません。

今年に入り、原油価格(WTI)は20%近く低下、日経平均株価は9.91%低下、NYダウは8.25%低下し、市場のセンチメントを表すVIX(恐怖指数)は48%近く上昇しリスク回避の動きが続いています。

特に上海総合は18.03%低下、新興国株(MSCIEM)も10.7%低下し、リスク回避の流れにドル高+円高傾向は収まるそうにありません。

中国と関連性の高いAUDは、AUDUSDは5.86%、AUDJPY6.54%低下、原油価格と関連性の高いCADは、USDCADが5.05%上昇、CADJPYは7.33%下落するカナダドル売りが続いています。逆に、リスク回避の動きに円の上昇は際立っており、USDJPYは2.69%下落し円高へ、EURUSDは小幅ながら0.46%上昇しユーロ高へと動きいています。

さて、今週の相場ですが、今週の材料でも示しているように、一週間を通じて、重要な発表が多く、相場変動は収まりそうにありません。ドル高+円高がどこまでつづくのでしょうか? その水準を試す週となりそうです。

特に、中国発の経済指標は多く、GDPが予想通り前年比6.9%で収まるのでしょうか? この数字如何では中国株→主要国株の変動にともなる為替変動が高くなることが予想されます。

また、各国中銀の金融政策の発表も多く、カナダ中銀は政策金利の据え置きが予想されていますが、一部では0.25%の利下げを期待する声も聞こえています。

ECBは金融政策の据え置きが予想されていますが、先の議事録ではQEのさらなる拡大やマイナス金利の拡大も議題に上っており、理事会の決定やドラギ総裁の記者会見で相場変動が高まることも予想されます。

今週は各国CPIの発表も多く控えています。英国、NZ、米国、ユーロ圏、カナダなどで、この結果によって株式・為替市場へ変動が高まることも予想されます。


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ドル相場

米通貨当局者からは、最近の中国経済の弱さや、中東の地政学的リスク、世界的な株安を危惧する声が多く、FRBの追加利上げの頻度や速度も相当減速することが予想されています。

次回の追加利上げも3月の声が多いのですが、その支持率はさらに低下傾向あります。実際には、利上げ後の米金利は低下傾向が続き、最近のドル高要因は、米金利の利上げと言うより、世界的なリスク回避の流れにリスク資産を売り、安全資産へと乗り換えている動きによると思われてなりません。

米債券利回りは大幅に低下、価格は上昇し、資金は海外の不安定な地域から米国へ、株式からより安全な債券へと動き、今週を含めて暫くドル高傾向は止まりそうにありません。

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【EURUSD 予想1.0800~1.1000】
先週は不気味なほど、1.08~1.100の狭いレンジに収まり、一時的な1.07や1.1050の上下変動を除けば、コアではこのレンジが過去6週間続いていることになります。

ドル円の除き、ドル高相場の中では、独経済は強く予想外に健闘している通貨と言えるでしょう。長期チャートでは1.0500をボトムにして、下げ止まってはいますが、1.1000を継続的に上回る展開が続かなければ、下値リスクを無視することはできそうにありません。

【GBPUSD 予想1.4000~1.4400】
ポンド安傾向は止まらず。先週はポンド安思考で予想レンジを考えましたが、その水準よりさらにポンド安が続き、カナダドルの弱さを彷彿させる動きが続いています。

一般的な理由は、EU離脱を問う国民投票の早期実施や、離脱支持者の拡大と思われています。最近の世界的な金利低下の中でも、英長期金利は昨年末の2.0%→1.63%まで一時低下するなど目立っています。原油価格の低下による中東の運用資産の変化もあり、原油安が続くかぎり、カナダドルと同じくポンド安も継続すると思われます。

【AUDUSD 予想0.6700~0.6950】
先週は昨年9月の安値0.6900を割り込み、2009年4月のリーマンショック後に上昇が始まったスタート水準に値を下げており、いずれかの水準で下げ止まることを期待したくなります。

しかしながら実情は中国経済と関連性は強く、今週も中国発の経済指標や中国株、人民元相場に伴い、変動することでしょう。全体的にみれば、リスク回避行動が強い中では、比較的健闘している通貨と思えてなりません。

【USDJPY 予想116.00~118.50】
世界的なリスク回避の流れに円高相場が続き、今週もこれをテーマとした値動きが予想されます。

相場の格言で、「まだはもうなり、もうはまだなり」を思い出します。現在の円高相場はこの通りではないでしょうか? 


もう円高は止まるだろうと思う市場参加者が多い間はボトムアウトできず、逆にまだ円高が続くと、市場参加者の多くが夢を見始めた時に、初めて円高が終了することを意味します。

日本国内に住み、国内の経済や政治状況を考えると、円高への動きを考えるほど強いとは思えません。ただし、相場は2国間の美人・不美人投票のようなもので、仮に自分が「あばた顔」でも比較する相手がよりネガティブなら支持を得るものです。

今回は、米国の超美人を除き、世界的な不美人投票の中で、円が選ばれている状態と考えます。テクニカルでは、116円は非常に重要で、今週も何度かこの水準を試すことが予想されますが、なかなか一筋縄では破れそうにありません。

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