2016/01/24

今週の為替相場を考える(1月25日~29日)

今週の為替相場を考える(1月25日~29日)

為替市場を取り巻く環境は複雑に絡みあっています。

先週終盤の急激な株高+原油高+新興国通貨高で、リスク回避の通貨であるJPY+EURは下落、逆にリスク通貨のCAD+AUDは上昇しています。

先週の大相場・急変動は相場の転換期に見られる現象の一つでもあり、ひょっとしたら「そろそろ悪材料は出尽くし」ではないかとの期待感を持たせる動きとなっています。状況証拠でもテクニカルでも相場の転換を明確にするものはありません。

先週、ドラギECB総裁は、理事会後の記者会見で「3月に金融政策スタンスを見直す必要性』を主張、黒田日銀総裁もダボス会議で『量的・質的緩和について必要なら拡大する余地』を発言、カーニーBOE総裁も「年内は利上げを否定」。要因からはドル高の選択肢が残ることになります。

結果、EURUSDは12月4日の上昇以来、久々に終値ベースでは安値を示現し、USDJPYは年初120円を割り込み、116円でボトムアウトし、久々に119円に手が届く水準まで値を戻しています。先週終盤のリスク選好パターンは本物なのでしょうか? それとも一時的なより戻しで本質は変わっていなのでしょうか?

今週予定されているFOMCや、NZ中銀と日銀の金融政策の結果、英・米・カナダGDP、豪・独・日・ユーロ圏CPIの各々の結果とその反応から、相場の流れの本筋を考える必要がありそうです。

流れの変化も期待したくなりますが、リスク回避の流れは一朝一夕とはならず、そのタイミングを見計らう必要もありそうです。

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ドル相場

1月27日のFOMCで追加利上げを期待する声は聞かれず、3月のFOMCでも利上げ期待はより弱まっているのが実情です。

主要国が利上げに動くとは思えず、逆に市場の安定を得るために今後の緩和傾向を示唆する発言が目立ち、ドル高の流れを変える状況に至っていません。

新興国通貨は下げ止まり期待も感じられますが、IMFは中国GDP予測も下方修正し、直近の原油価格の上昇も、ようやく1月11日の水準近くまで戻したに過ぎません。安全資産のドルから資金の逆流も考えにくく、基本はドル高傾向が続くことが予想されます。

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【EURUSD 予想1.07000~1.1000】

上値を切り下げながらも、緩やかなレンジ相場が続いています。リスク回避のヘッジ通貨として、クロスのユーロ買いも弱まり、ドラギECB総裁の追加緩和を示唆する発言に、ユーロ売り材料が加わり上値は重くなっています。

値動きからは、先週は下限1.0800を若干ながら割り込んでの終了となっており、年初の安値1.0710までトライする可能性を意識する必要があります。

現状では、追加緩和期待の他に、大きく値を崩す新たな材料も見当たらず、今週予定の、独・ユーロ圏CPI、仏GDPで、1.0700~1.1000のレンジ相場に収まることが予想されます。

【GBPUSD 予想1.4100~1.4450】

激しいポンド安傾向も先週後半から3日連続で上昇し、原油価格に連動した動きもあり、流れの変化を意識したくなりますが、戻り売り圧力は強く上昇力は限定的となっています。

カーニーBOE総裁の発言で、年内の利上げ期待はさらに弱まっていますが、CPIや雇用統計は予想を上回り、英経済の底堅さが印象に残ります。1.4100では底値感が強まりつつありますが、1.4500台から買いが入る状況には思えません。

【AUDUSD 予想0.6850~0.7100】

年初から続く豪ドル安も、先週は連騰し0.7000の大台を達成、豪ドル売りがスタートした水準近くへ逆戻りしています。

原油価格+商品価格の上昇が豪ドル買いをフォローしていますが、上海総合株価や新興国株は不安定な状況は変わっていません。テクニカルでも0.7000の水準は過去に売り買いの攻防を繰り返していることもあり、意識せずにはいられません。

【USDJPY 予想117.50~119.50】

安値116円で底値の達成感強まり、116.00~118.50円のレンジ上限を超えています。原油高+株高に円安へと動いたことも事実ですが、今週は118.50台を安定的に維持できるかが重要と考えます。

この水準からはUSDJPY単独での円売りを引っ張ることは難しそうで、円クロスの動向と、日本株の動向次第で安定な面も強く、117円台前半が底値となるのかを試しながら緩やかな上昇を期待したくなります。

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